朝、寝る前、休憩中…SNSとどう付き合う?タイミングで変える心の距離術
SNSを見る「タイミング」は、心の健康に影響を与えています
私たちは日々、様々なタイミングでSNSを開いています。朝起きてすぐ、通勤電車の中、仕事の休憩時間、そして夜寝る前。特に意識せず、何となく手持ち無沙汰な時にアプリを立ち上げてしまう、という方も多いのではないでしょうか。
しかし、SNSを見る時間帯やその時の心身の状態は、受け取る情報やそれに対する心の反応に大きく影響を与えることがあります。例えば、朝一番にネガティブなニュースや他者の「キラキラした」投稿を見ると、一日が始まる前に気分が落ち込んでしまったり、焦りを感じたりすることがあります。また、寝る前にSNSを長時間見続けると、脳が覚醒してしまい、入眠を妨げる可能性も指摘されています。
この記事では、SNSを見る様々なタイミングが私たちの心にどのような影響を与える可能性があるのかを考え、それぞれの時間帯で心穏やかにSNSと付き合うための具体的な「距離術」をご紹介します。ご自身のライフスタイルに合わせて、心地よいSNSとの向き合い方を見つけるヒントとしていただければ幸いです。
時間帯別:SNS利用の影響と心穏やかな距離術
SNSを見るタイミングによって、心への影響は異なります。ここでは、代表的な時間帯ごとの特徴と、実践できる距離術をいくつかご紹介します。
朝イチ(起床後すぐ)
- 影響: 脳がクリアで無防備な状態のため、ネガティブな情報や他者との比較による落ち込みが一日を通して尾を引く可能性があります。受動的な情報に触れることで、その日の「自分軸」がブレやすくなることもあります。
- 距離術:
- 朝イチはSNSを開かないルールを作る: スマートフォンを枕元に置かない、起きたらすぐに軽いストレッチや水分補給をするなど、SNS以外の行動を習慣化します。
- ポジティブな情報源に触れる: 肯定的な言葉や、好きな趣味に関する情報など、意図的に気分が上がるような情報に触れることから一日を始めてみるのも良いでしょう。
通勤・移動中
- 影響: 隙間時間に何となくSNSを見てしまいがちですが、情報過多になったり、周囲の様子(スマホを見ている人が多いなど)から焦りを感じたりすることがあります。
- 距離術:
- SNS以外の選択肢を持つ: 読書、音楽、ポッドキャストを聴く、語学学習アプリを使うなど、移動時間を他の活動に充ててみます。
- 見るものを事前に決めておく: 「今日は特定の友人の投稿だけチェックする」「この興味のあるハッシュタグだけ見る」など、目的を持って開くようにします。
休憩時間(仕事の合間など)
- 影響: 短時間で大量の情報に触れることで、脳が十分に休まらず、かえって疲労を感じることがあります。「休憩した気にならない」という声も聞かれます。
- 距離術:
- タイマーを設定する: 「SNSは10分だけ」のように時間を決め、時間になったらアプリを閉じる習慣をつけます。
- 物理的に休憩スペースから離れる: SNSを見るだけでなく、窓の外を眺める、軽い散歩をするなど、体を動かしたり視点を変えたりする休憩法を取り入れます。
寝る前(就寝前)
- 影響: 画面のブルーライトが脳を覚醒させ、睡眠ホルモンの分泌を妨げる可能性があります。また、夜はネガティブな感情が増幅されやすく、他者比較による落ち込みや不安が、そのまま睡眠の質を低下させることにつながりやすい時間帯です。
- 距離術:
- 就寝1時間前からはSNSを見ない: スマートフォンを寝室に持ち込まない、通知をオフにするなど、物理的に距離を置く工夫をします。
- リラックスできるルーティンを取り入れる: 温かい飲み物を飲む、軽い読書をする、静かな音楽を聴くなど、心を落ち着かせる行動を習慣化します。
タイミング別距離術の共通原則
上記で時間帯ごとの距離術をご紹介しましたが、どのタイミングにも共通して大切な考え方があります。
- 「何となく」から「意図的」へ: SNSを開く前に、「なぜ今SNSを見たいのか」「何を知りたいのか」を少し立ち止まって考えてみます。明確な目的がない場合は、開くのをやめてみるという選択肢も持ってみましょう。
- 利用時間を意識する: 時間を決めることは、無制限な情報消費を防ぐ基本的な対策です。アプリの機能やスマートフォンの設定で利用時間を管理するのも有効です。
- 感情が揺れている時は注意する: 疲れている時、落ち込んでいる時、イライラしている時など、感情が不安定な時はSNSの情報に過敏に反応しやすい状態です。このような時は、無理にSNSを見ず、心を落ち着かせることを優先するのが賢明です。
- 代替行動を見つける: SNSを見ようと思った時に、代わりにできる他のこと(読書、音楽、軽い運動、家族との会話など)をいくつか用意しておくと、習慣を変えやすくなります。
自分にとって心地よい「SNSリズム」を見つける
ご紹介した距離術はあくまで一般的な提案です。大切なのは、ご自身のライフスタイルや心の状態に合わせて、最も心地よいと感じる「SNSリズム」を見つけることです。
特定の時間帯の利用がどうしてもやめられない場合は、まずは「見る内容を限定する」ことから始めても良いでしょう。あるいは、「この時間帯だけは通知をオフにする」という小さな工夫から試すことも可能です。
SNSは便利なツールですが、使い方次第で私たちの心身に良くも悪くも影響を与えます。どのタイミングで、どのような目的で利用するかを意識することで、SNSに振り回されることなく、自分軸で穏やかに付き合っていくことができるはずです。
まとめ
SNSを見る時間帯を意識することは、心穏やかにデジタル空間と付き合うための重要な一歩です。朝、移動中、休憩時間、寝る前など、それぞれのタイミングが心に与える影響を理解し、ご自身に合った距離術を取り入れてみてください。
「何となく」開く時間を減らし、「意図的」な利用を増やすこと。そして、感情が不安定な時は無理せず距離を置くこと。これらの小さな意識の変化や具体的な工夫が、SNSとの健全な関係を築き、日々の心の健康を守ることにつながるでしょう。今日からできることから、ぜひ一つ試してみてはいかがでしょうか。