SNSで『苦手・モヤモヤ』する投稿との心の距離術:感情に振り回されない自分になる
はじめに:見たくないわけじゃないけれど、なぜか心を乱される投稿はありませんか?
日々のSNS利用の中で、ふと目に留まる投稿に、説明しがたいモヤモヤや苦手意識を感じることはないでしょうか。特定の人物の投稿、あるいは内容そのものが、なぜか心をざわつかせ、気分を落ち込ませたり、イライラさせたりすることがあります。
完全にフォローを外したり、ブロックしたりするほどではないけれど、見るたびに少し疲れる。そうした投稿は、知らず知らずのうちにSNS全体の体験をネガティブなものに変えてしまう可能性があります。
SNSは本来、情報収集や交流、気分転換のためのツールです。しかし、こうした小さな心の引っかかりが積み重なることで、いつの間にかSNSから距離を取りたくなったり、利用そのものが負担になったりすることもあります。
この記事では、SNSで「苦手だな」「モヤモヤするな」と感じる投稿と、どのように心の距離を取れば良いのかについて、具体的な方法と、そう感じる自分自身との向き合い方をご紹介します。感情に振り回されず、自分軸でSNSと付き合うためのヒントを探していきましょう。
なぜ、特定の投稿にモヤモヤしたり苦手意識を持ったりするのでしょうか?
特定の投稿や人物に対して、なぜか心がザワついたり、苦手意識を持ったりすることには、いくつかの理由が考えられます。その感情の背景を理解することは、対処法を見つける第一歩となります。
考えられる理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 価値観や考え方の違い: 投稿されている内容が、ご自身の持つ価値観や考え方と大きく異なる場合、反発や違和感を感じやすくなります。
- 共感性羞恥: 投稿内容が、見ているこちらが恥ずかしくなるような、痛々しさを伴う場合、共感性羞恥を感じてモヤモヤすることがあります。
- 羨望や嫉妬: 投稿されている「良い面」に、無意識のうちに羨ましさや嫉妬を感じ、それがモヤモヤとして現れることがあります。自分自身が満たされていない部分を刺激される、とも言えるかもしれません。
- 自分のコンプレックスを刺激される: その投稿が、ご自身の抱えるコンプレックスや過去の傷を思い起こさせる内容である場合、辛さや苦手意識につながることがあります。
- 特定の言葉遣いや表現: 内容そのものよりも、使われている言葉や表現方法が、生理的に受け付けなかったり、不快感を与えたりすることがあります。
- 理由はないけれど、なんとなく: 特定の理由は明確ではないけれど、見るとなんとなく疲れる、気が滅入る、という場合もあります。人間の直感や相性のようなものかもしれません。
これらの感情は、決して特別なものではなく、多くの人が経験することです。「なぜ自分はこんな風に感じるのだろう」と自分自身を責める必要はありません。大切なのは、その感情を無視せず、どのように対処していくか、ということです。
『苦手・モヤモヤ』する投稿との具体的な心の距離術
感情の背景を理解した上で、次に実践的な心の距離の取り方を見ていきましょう。完全にシャットアウトするのではなく、見ても心を乱されにくくなるための工夫です。
1. 感情を観察し、客観視する
モヤモヤや苦手意識を感じた瞬間に、「あ、今、自分はこの投稿を見て〇〇(モヤモヤ、不快感など)と感じているな」と、自分の感情を客観的に観察する練習をしてみましょう。感情に飲み込まれるのではなく、「それは自分のものであり、投稿そのものではない」と切り離して捉える意識を持つことが重要です。これにより、感情に振り回される度合いを減らすことができます。
2. 投稿の「意図」を深読みしない
相手の投稿の裏にある意図や、なぜこんなことを投稿するのだろう、といったことを深く考えすぎないようにしましょう。SNSの投稿は、相手の生活や思考のごく一部を切り取ったものです。そこに描かれていない背景や文脈を詮索し始めると、かえってモヤモヤが増幅することがあります。これは「単なる情報の一部」「一過性のもの」として捉える意識を持つことが役立ちます。
3. 情報のフィルターを意識的にかける
目に入ってきた投稿全てを、真剣に受け止めたり、自分の心に通したりする必要はありません。苦手な投稿が流れてきたら、意識的に「自分には関係のない情報」「ノイズ」として処理し、すぐにスクロールして流し見する習慣をつけましょう。脳内で情報を重要度でフィルタリングするイメージです。
4. 「ミュート機能」を積極的に活用する
フォローを外すと関係性に影響するかもしれない、という場合に非常に有効なのがミュート機能です。ミュートすれば、相手に知られることなく、その人の投稿が自分のタイムラインに表示されなくなります。関係性は維持しつつ、情報だけをシャットアウトできる、柔軟なデジタル距離術と言えるでしょう。特定の投稿だけが気になる場合は、その投稿に特化したミュート設定なども検討できます。
5. 自分自身の心の状態を整える
心が疲れていたり、自己肯定感が低下していたりする時は、他者の投稿によってネガティブな感情を抱きやすくなる傾向があります。苦手な投稿に触れる前に、あるいは触れた後に、意識的に自分の心の状態に目を向けましょう。十分な睡眠、バランスの取れた食事、軽い運動、好きなことに没頭する時間など、SNSの外で自分を満たす時間を持つことが、SNS上の情報に左右されない心の強さにつながります。
6. 自分の「安全地帯」を大切にする
SNS全体が苦手になる前に、自分が「見ていて心地よい」「安心できる」と感じるアカウントやコミュニティを大切にしましょう。そうした「安全地帯」を意識的に見る時間を増やすことで、SNS全体の体験をポジティブなものに保つことができます。
7. それでも辛い場合は、物理的な距離も検討する
上記の方法を試しても、どうしても心が乱される場合や、特定の投稿を見ることで精神的に負担が大きい場合は、一時的にSNSから離れるデジタルデトックスや、そのアカウントのフォロー解除、ブロックといった物理的な距離を取る選択肢も視野に入れることが大切です。ご自身の心の健康を最優先に考えて判断されると良いでしょう。
まとめ:モヤモヤする感情は自然なこと。自分軸で付き合うための「選択肢」を持つ
SNSで特定の投稿に対してモヤモヤしたり、苦手意識を持ったりする感情は、決して特別なことではありません。それは、あなたが自分自身の心や価値観を大切にしている証拠とも言えます。
大切なのは、そうした感情に振り回され、SNS全体の利用や日常生活に支障をきたさないようにすることです。今回ご紹介した心の距離術は、そうした感情と上手に付き合い、SNSを自分にとって心地よい場所にするための「選択肢」です。
これらの方法を全て試す必要はありません。ご自身の状況や性格に合わせて、試しやすいものから取り入れてみてください。自分自身の感情を観察し、認めつつも、それに引きずられすぎない工夫をすることで、感情に振り回されず、自分軸でSNSと向き合うことができるでしょう。
SNSはあくまでツールです。そのツールに心を乱されるのではなく、あなたがツールを使いこなせるように、少しずつ「デジタル距離術」を実践してみてはいかがでしょうか。