SNSでの日々の記録疲れ:瞬間を捉えるプレッシャーを手放す心の距離術
SNSでの日々の記録、無意識のプレッシャーになっていませんか?
日々の出来事や感動した瞬間を写真に撮り、文章を添えてSNSに投稿する。これは多くの人が当たり前のように行っている習慣かもしれません。大切な思い出を記録として残したり、身近な人たちと共有したりすることは、SNSの楽しみ方の一つです。
しかし、いつの間にかこの「記録・投稿する」という行為が、あなたにとって負担になっていないでしょうか。
「この瞬間を写真に残さなきゃ」「せっかくの良い出来事だから投稿しなきゃ」「みんなに見られても良いように、もっと良く見せたい」
このように、義務感や焦り、あるいは他者からの評価を気にする気持ちから、無意識のうちにプレッシャーを感じてしまうことがあります。SNSのために「瞬間を捉えよう」とすることで、目の前の出来事を心から味わうことが難しくなるケースもあるかもしれません。
この記事では、SNSでの日々の記録や投稿にまつわる「疲れ」の原因を探り、そのプレッシャーを手放し、自分にとって心地よい「記録との距離」を見つけるための考え方をご紹介します。
なぜSNSでの「日々の記録・投稿」は疲れるのか?
日々の記録や投稿が疲労につながる背景には、いくつかの要因が考えられます。
1. 「良い瞬間」を逃すまいとする焦り
「せっかくのイベントなのに、写真がない」「この感動を投稿しないともったいない」といった思いから、常にスマホを構え、シャッターチャンスを探してしまうことがあります。目の前の出来事を純粋に楽しむよりも、「記録する」ことが優先されてしまい、心からリラックスできなくなる場合があります。
2. 「完璧に見せたい」という心理と労力
SNSに投稿する写真や動画は、多くの人に見られる可能性があります。そのため、「映える」ように加工したり、文章を練ったりすることに時間や労力がかかります。自分の日常を理想化して見せようとすること自体が、精神的な負担となることがあります。
3. 投稿すること自体が目的化する
本来、記録は体験を留めておくための手段ですが、SNSにおいては「投稿すること」そのものが目的となってしまうことがあります。「今日何も投稿していない」「みんなは上げているのに」といった焦りから、特に感動のない出来事でも無理にネタを探してしまう状況も生まれます。
4. 反応への期待と不安
投稿したからには、「いいね」やコメントといった反応が気になるものです。期待通りの反応が得られないと落ち込んだり、逆に反応を気にしすぎて自由に投稿できなくなったりすることもあります。他者の評価に自分の行動が左右されてしまう状態です。
5. 無意識の義務感や「べき思考」
SNSを利用していると、「毎日更新するべき」「特別な瞬間を記録するべき」といった無意識の義務感や「べき思考」に縛られることがあります。これは、他のユーザーの投稿頻度や内容に影響されたり、過去の自分の投稿ペースに縛られたりすることで生じやすいものです。
「瞬間を捉えるプレッシャー」を手放す考え方
こうした「記録疲れ」や「瞬間を捉えるプレッシャー」から解放されるためには、いくつかの考え方を取り入れてみることが有効です。
1. 記録の「目的」を問い直す
あなたはなぜ日々の出来事を記録し、SNSに投稿するのでしょうか? * 自分自身の思い出として残したい * 家族や親しい友人と共有したい * 不特定多数の人に自分の活動を知ってほしい * 誰かの役に立つ情報を発信したい
目的を明確にすることで、「誰のために」「何のために」記録・投稿するのかが見えてきます。目的が曖昧だったり、本来の目的からずれてしまったりしている場合は、その負担が大きくなっているサインかもしれません。
2. 「完璧な瞬間」幻想を手放す
SNSに投稿される多くの写真は、加工されたり、一番良く見える瞬間だけが切り取られたりしています。それは、現実のごく一部であると認識することが大切です。あなたの日常や捉えた瞬間が、常に完璧である必要はありません。ありのままを受け入れることから、プレッシャーは和らぎます。フィルター越しの世界と現実の区別を意識しましょう。
3. 「記録しない選択肢」を大切にする
全ての瞬間を記録する必要はありません。心に強く残った出来事や感動は、写真や動画に残さなくても、あなたの記憶の中に大切にしまわれます。時にはスマホを鞄にしまい、目の前の出来事を五感でじっくりと味わう時間を意識的に持つことも大切です。
4. 投稿のハードルを下げる、あるいは投稿しない日を作る
毎日投稿しなければならない、というルールはありません。完璧な写真や文章でなくても構いません。自分にとって無理のないペース、無理のない内容で投稿することを心がけましょう。また、投稿しない日があっても全く問題ないということを自分に許可することも大切です。SNSは義務ではありません。
5. 誰に見せるかを意識し、評価から距離を置く
不特定多数の評価が負担になる場合は、公開範囲を限定することを検討しましょう。親しい友人のみに公開するアカウントを作成したり、そもそも記録はSNSではなく個人のアルバムアプリなどに留めたりすることも一つの方法です。他者の反応はコントロールできないものだと割り切り、自分の価値を「いいね」の数で測らないように意識しましょう。
6. 「記録」を「ログ」として捉える
見栄えを気にせず、単に自分の活動や出来事の足跡を残す「ログ」としてSNSを利用するという考え方もあります。誰かに見せるためというよりは、後で自分自身が見返して「こんなこともあったな」と思い出せるような、パーソナルな記録帳として捉えることで、不要なプレッシャーを手放すことができます。
自分にとって心地よい「記録との距離」を見つける
SNSでの日々の記録や投稿は、あくまであなたの日常を彩るツールの一つです。それがプレッシャーとなり、心身の負担になっていると感じたら、一度立ち止まってその付き合い方を見直す時期かもしれません。
「記録する」ことは、必須ではありません。「記録したい」と思った時に、無理のない範囲で行えば良いものです。
瞬間を捉えることに必死になるのではなく、まずは目の前の「瞬間」そのものを心から体験することに意識を向けてみてください。そして、その体験をどのように残し、誰と共有するのかを、自分の心と相談しながら決めていくことが大切です。
あなたにとって心地よい「記録との距離」を見つけることで、SNSとの付き合い方がより穏やかで、自分らしいものになっていくでしょう。