休憩時間のSNSで疲弊しないためのデジタル距離術
休憩時間、ついスマートフォンを手に取りSNSを開いてしまうという方は多いのではないでしょうか。少し気分転換をしよう、情報収集をしよう、友人や世の中の動きをチェックしよう、といった軽い気持ちで見始めたはずが、気づけば予定していた休憩時間をオーバーしていたり、あるいは見終わった後にどっと疲れてしまったり、モヤモヤした気持ちになってしまったりすることはありませんか。
休息や気分転換のために利用しているはずなのに、かえって疲弊を感じてしまう。これは、SNSとの付き合い方における一つの大きな課題と言えます。デジタル距離術では、SNSを完全に断つのではなく、ご自身の心の健康を保ちながら賢く付き合っていくための方法をお伝えしています。今回は、休憩時間のSNS利用がなぜ疲弊につながりやすいのかを理解し、それを本当の意味での心休まる時間にするための具体的な距離術を考えていきます。
休憩時間のSNS利用が疲弊を招く理由
休憩時間のSNSが、期待するリフレッシュ効果をもたらさず、むしろ疲弊につながってしまうのにはいくつかの理由があります。
- 情報過多と脳の処理負担: SNSには、ニュース、広告、他者の投稿、エンタメ情報など、膨大な情報が常に流れ続けています。短い時間で大量の情報に触れることは、脳にとって想像以上に大きな負担となります。特に休憩中は心身を休めたい時間であるにもかかわらず、脳をフル稼働させてしまうことになります。
- 無意識の他者比較: SNSで他者の楽しそうな投稿や成功談、充実した生活の様子などを見ると、意識せずともご自身の状況と比較してしまいがちです。「自分はなんて平凡なんだ」「もっと頑張らなくては」といった気持ちが湧き上がり、休憩どころか自己肯定感が下がってしまうことがあります。
- 「いいね」や反応への無意識の期待: ご自身が何かを投稿している場合、休憩中にその反応(「いいね」の数やコメント)が気になってしまうことがあります。期待するような反応が得られなかった場合、落胆や不安を感じ、心が休まりません。また、他者の投稿への「いいね」やコメントを考えることも、一種の社会的労力となり疲弊の原因となります。
- 通知による集中力の分断: SNSアプリの通知が頻繁に来る設定になっている場合、休憩中であっても通知によって意識が分断され、リラックスできません。脳が常に待機状態となり、深い休息が得られなくなります。
- 利用目的と行動のズレ: 休憩の目的は、仕事や作業から離れて心身をリフレッシュすることです。しかし、無意識にSNSを開いてしまうと、当初の休息という目的から離れ、ただ時間を消費したり、ネガティブな情報に触れたりする結果となり、目的と行動がズレて疲弊を感じやすくなります。
これらの理由から、休憩時間のSNS利用は、効果的なリフレッシュ方法とはなりにくい場合があるのです。
休憩時間を「本当の休息」にするためのデジタル距離術
では、どのようにすれば休憩時間のSNS利用で疲弊せず、心身が休まる時間に変えることができるのでしょうか。いくつかの具体的な方法を提案します。
- 休憩時間のSNSに「目的」を設定する: 「何となく見る」のではなく、「この休憩時間では、〇〇さんの投稿だけをチェックする」「特定の興味分野の最新情報を5分だけ見る」のように、明確な目的と時間制限を設けてみましょう。目的がないと、無限に流れるタイムラインをさまよい続け、情報過多に陥りやすくなります。
- 「休憩=SNS」という習慣から離れる: 休憩時間になったら自動的にSNSを開く、という無意識の習慣を見直しましょう。休憩時間の過ごし方には、ストレッチをする、温かい飲み物を飲む、窓の外を見る、軽い読書をする、目を閉じて深呼吸するなど、SNS以外の選択肢がたくさんあります。意識的に他の休息方法を取り入れることで、SNS依存から距離を置くことができます。
- SNS利用の「代替行動」を決めておく: 休憩時間になりSNSを開きたくなった時のために、「SNSの代わりにこれをしよう」という代替行動をあらかじめ決めておくと効果的です。例えば、「SNSを開く代わりに、お気に入りの音楽を1曲聴く」「SNSを開く代わりに、デスク周りを軽く片付ける」など、手軽にできる別の行動リストを用意しておくと良いでしょう。
- 見るものを選ぶ基準を持つ: タイムラインをただ受け身で流し見するのではなく、「自分にとって心地よい情報か」「気分が上がる情報か」「学びや気づきがある情報か」といった基準で見るものを選びましょう。ネガティブな情報や、比較対象となりがちな投稿からは意識的に距離を置く勇気も必要です。ミュート機能やリスト機能などを活用するのも有効です。
- 通知を整理・オフにする: 休憩中にSNSから通知が来ることで、せっかくリラックスしようとしている心が乱されることがあります。仕事中だけでなく、休憩時間も不要な通知はオフにする、あるいは通知設定を最小限に絞ることで、SNSに邪魔されずにご自身のペースで休憩時間を過ごすことができます。
- 利用後の心の状態を意識する: SNSを見た後に「疲れた」「モヤモヤする」「時間を無駄にした」と感じることが多いのであれば、そのSNSとの付き合い方はご自身の心に合っていないサインかもしれません。利用後に心がどのように変化するかを観察し、疲れるようであれば利用方法や頻度を見直すきっかけにすることができます。
まとめ
休憩時間は、心身をリフレッシュさせ、午後の活動への活力を養うための大切な時間です。その貴重な時間を、SNSでの情報過多や他者比較、無意識のスクロールによって疲弊させてしまうのは避けたいところです。
ご紹介したデジタル距離術は、休憩時間のSNS利用からくる疲弊を軽減し、ご自身にとって本当に質の高い休息を得るためのヒントとなるでしょう。「何となく開く」を減らし、目的を持って利用する、他の休憩方法を試す、見るものを意識的に選ぶといった小さな工夫から始めてみてください。
ご自身の心の状態を大切にしながら、SNSと賢く、心地よい距離感で付き合っていくことが、日々の充実感や心の健康につながっていきます。ぜひ、ご自身の休憩時間におけるSNSとの関係性を見直してみてはいかがでしょうか。