デジタル距離術

SNSを楽しむための心の距離術：疲れない付き合い方を見つける

SNSは楽しい、でも疲れてしまうあなたへ

SNSは、私たちの生活を豊かにしてくれる素晴らしいツールの一つです。友人や家族とのつながりを保ち、新しい情報や趣味の世界を広げ、時には日々の出来事を共有して共感を得ることもできます。しかしその一方で、「気づけば時間が経っている」「他人の投稿を見て落ち込んでしまう」「通知に心がざわつく」など、SNSが原因で心に負担を感じることもあるかもしれません。

SNSの「楽しさ」と「疲れ」は表裏一体のように感じられることもあります。完全にやめるという選択肢もありますが、SNSから得られる良い影響やメリットを手放したくないと考える方もいらっしゃるでしょう。大切なのは、SNSを「疲れるもの」として遠ざけるのではなく、自分にとって心地よい「楽しさ」の割合を増やし、「疲れ」を減らすためのバランスを見つけることです。

この記事では、SNSの楽しさを維持しながら、心穏やかに付き合うための「心の距離術」についてご紹介します。

なぜSNSは疲れると感じるのでしょうか

SNSがもたらす疲労の原因は一つではありません。多くの場合、複数の要因が組み合わさっています。

• 他者との比較: 友人や知人、あるいは見知らぬ誰かの「キラキラした」生活を垣間見て、自分の現状と比べて落ち込んでしまうことがあります。
• 情報過多: 常に新しい情報が流れ込み、全てを追いきれないという焦りや、不要な情報に触れることによる疲労。
• 人間関係: 「いいね」やコメントの数を気にしてしまう、あるいは人間関係のしがらみを感じて投稿に気を遣うといった、承認欲求や義務感からくる疲れ。
• 時間消費: 目的もなくSNSを見てしまい、気づくと多くの時間を費やしていることへの後悔や自己嫌悪。
• ネガティブな情報: 批判的な意見や心ない言葉を目にして、気分が滅入ってしまうことがあります。

これらの要因は、SNS本来の楽しさであるはずの「つながり」や「情報収集」といった側面が、過剰になったり、歪んだ形で作用したりすることで生じやすくなります。

自分にとって心地よい「バランス」を見つけるためのステップ

SNSの楽しさを増やし、疲れを減らすためには、自分にとっての「適量」や「心地よい付き合い方」を知ることが第一歩です。

1. SNSを利用する「目的」を再確認する

あなたがSNSを利用する一番の理由はなんでしょうか。情報収集、趣味の仲間との交流、友人との近況報告、あるいは単なる暇つぶしでしょうか。目的を明確にすることで、漫然とSNSを見るのではなく、必要な情報だけを得たり、特定の機能だけを使ったりするなど、利用方法を調整しやすくなります。

2. 「楽しい」と「疲れる」瞬間を意識する

SNSを見ている最中や見た後に、どんな時に「楽しい」「充実している」と感じ、どんな時に「疲れた」「嫌な気分になった」と感じるかを意識してみてください。可能であれば、簡単にメモを取るのも良いでしょう。特定の時間帯、特定の投稿、特定の人物など、何が自分に影響を与えているのかが見えてきます。

3. ポジティブな影響を与える情報源を増やす

見ていて心地よい、元気をもらえる、学びがあるといったポジティブな感情を抱かせてくれるアカウントを積極的にフォローしてみましょう。興味のある分野の情報発信者や、応援したいクリエイター、心温まる投稿をする友人など、自分の精神的な栄養になるような情報を選び取ることが大切です。

4. 疲労の原因となる情報源から距離を置く

「キラキラ投稿」を見て落ち込む、批判的な意見に触れやすい、あるいは義務感を感じる相手など、自分にとってネガティブな感情を引き起こしやすいアカウントからは距離を置くことを検討します。ミュート機能を使ってタイムラインに表示させなくしたり、場合によってはフォローを外したりすることも、心の平穏を保つためには有効な手段となり得ます。これは人間関係を断つことではなく、あくまでSNS上での情報との距離を調整する「デジタル距離術」の一つです。

5. 利用時間や通知を管理する

SNSに時間を奪われていると感じる場合は、利用時間を意識的に区切る習慣をつけてみましょう。「朝起きてすぐ」「寝る前」といったタイミングでの利用を控えたり、特定のアプリの使用時間に制限を設けたりすることも有効です。また、必要のない通知はオフに設定することで、SNSに注意が引っ張られる回数を減らし、目の前のことに集中できるようになります。

6. SNS以外の活動を大切にする

SNSの外の世界、つまり現実での活動や人間関係を充実させることも、SNSとの健全なバランスを保つ上で非常に重要です。趣味に没頭する、友人や家族と直接会って話す、自然の中で過ごすなど、デジタルデバイスから離れる時間を持つことで、心がリフレッシュされ、SNSへの依存度を自然と下げることができます。

まとめ：自分軸で、心地よくSNSと付き合うために

SNSの楽しさと疲れのバランスを取ることは、デジタル時代に心穏やかに過ごすための重要なスキルの一つです。ご紹介したステップは、どれもすぐに実践できる小さなことから始めることができます。

大切なのは、SNSを「こう使わなければならない」という固定観念にとらわれず、自分自身の心の状態に合わせて柔軟に利用方法を調整していくことです。自分にとって何が心地よく、何が負担になるのかを常に意識し、SNSを自分らしいペースで楽しむことを目指してみてください。

SNSはあくまで人生の一部であり、全てではありません。SNSを通じて得られるつながりや情報も大切にしつつ、現実世界でのあなたの時間や心の健康も同じように大切にすることで、より豊かで充実した日々を送ることができるでしょう。