デジタル距離術

SNSの承認欲求疲れ:自己肯定感を育む「デジタル距離術」

Tags: 承認欲求, 自己肯定感, SNS疲れ, デジタル距離術, メンタルヘルス

SNSの「いいね」が気になる…承認欲求と上手に付き合う方法

SNSを利用していると、「いいね」の数やコメント、フォロワーの増減などが気になってしまうことはないでしょうか。自分の投稿への反応が少ないと落ち込んだり、他の人の「いいね」が多い投稿を見てうらやましくなったりすることもあるかもしれません。これは、SNSが私たちの承認欲求を刺激しやすいツールであることと深く関連しています。

承認欲求そのものは、誰にでもある自然な感情であり、決して悪いものではありません。しかし、SNS上で過剰に刺激され、「いいね」や反応が自己価値の基準になってしまうと、疲弊やストレスにつながることがあります。これが「SNSの承認欲求疲れ」です。

この記事では、SNSの承認欲求とどのように向き合い、自分自身の自己肯定感を育みながら、心穏やかにSNSと付き合っていくための具体的な方法についてご紹介します。

なぜSNSは承認欲求を刺激しやすいのか

私たちがSNSに投稿する際、多くの場合、誰かに見てもらうことを意識しています。そして、それに対する反応(いいね、コメント、シェアなど)が得られることで、「自分の投稿は価値がある」「自分は誰かに認められている」と感じることができます。これは、私たちの内側にある「認められたい」「価値ある存在でありたい」という承認欲求が満たされる瞬間です。

しかし、SNSは反応が可視化されやすく、他者との比較も容易です。他の人の投稿が自分より多くの反応を得ているのを見ると、「なぜ自分はそうではないのだろう」と不安になったり、焦りを感じたりすることがあります。また、期待する反応が得られないと、自分の投稿や自分自身の価値を否定されたように感じてしまい、自己肯定感が揺らいでしまうこともあります。

このように、SNSは承認欲求を満たす機会を提供する一方で、満たされない場合の落胆や、過剰な刺激による疲弊を生み出しやすい構造を持っていると言えるでしょう。

SNSの承認欲求疲れに気づくサイン

自分が承認欲求に振り回され、疲れていることに気づくためのサインをいくつかご紹介します。

これらのサインに心当たりがある場合、SNSの承認欲求がストレスの原因になっている可能性があります。

承認欲求と上手に付き合うための「デジタル距離術」

SNSの承認欲求と健全に付き合うためには、完全に無視するのではなく、その存在を認めつつ、どのように扱うかを意識することが重要です。

1. 自分の「承認欲求」に気づき、認める

まず大切なのは、「自分には承認欲求がある」という事実を否定せず、認めることです。誰もが持っている自然な感情であり、恥ずかしいことではありません。「私は今、SNSの反応を気にして落ち込んでいるな」「これは承認欲求が刺激されている状態だな」と客観的に自分の状態を観察することから始めてみましょう。感情に気づくことで、それに振り回されるのではなく、対処法を考える第一歩となります。

2. SNSを使う「本当の目的」を再確認する

なぜあなたはSNSを使っているのでしょうか?友人との近況を知りたい、趣味の情報を集めたい、特定のコミュニティと交流したい、など、SNSを始めた本来の目的があったはずです。承認欲求を満たすこと自体が目的になっていないか、一度立ち止まって考えてみましょう。本来の目的を思い出すことで、「いいね」の数に一喜一憂するのではなく、より建設的なSNSの使い方が見えてくることがあります。

3. 「いいね」や反応の価値を相対化する

SNSでの「いいね」は、あくまでインターネット上の特定の評価指標の一つに過ぎません。それがあなたの人間性や価値の全てを表すものではない、ということを心に留めておきましょう。投稿内容が優れていても、見る人のタイミングや興味関心によって反応は変わります。反応が少なくても、あなたの投稿が無価値であるわけではありません。

また、「いいね」は、投稿を見た人が「見たよ」「良いね」と手軽に意思表示できる機能です。深い共感や尊敬を表していることもありますが、単なる挨拶のようなものとして捉えることも可能です。反応の裏にある意味を過度に深読みしないように意識してみましょう。

4. SNS以外で自己肯定感を育む

SNSの反応に依存せず自己肯定感を高めるためには、SNS以外の領域で自分の価値や能力を実感できる機会を持つことが非常に重要です。

SNSは自分の一部を表現する場であり、それが全てではありません。多角的な視点から自分自身を評価することで、SNSでの反応に自己価値が左右されにくくなります。

5. 通知をオフにする・見る時間を決める

SNSの通知が届くたびに気になって開いてしまう、という方は、通知をオフに設定することをおすすめします。通知に縛られず、自分の意思でSNSを見る時間やタイミングをコントロールすることで、承認欲求が刺激される頻度を減らすことができます。また、SNSを見る時間をあらかじめ決めておくことも有効な方法です。

まとめ

SNSの承認欲求は、誰もが持ちうる自然な感情です。しかし、それに振り回されて疲れてしまう前に、自分の状態に気づき、適切な距離をとる「デジタル距離術」を実践することが大切です。「いいね」の数に価値を求めすぎず、SNSを使う本来の目的を思い出し、SNS以外での自己肯定感を育むことに注力してみてはいかがでしょうか。

自分の価値はSNSの反応で決まるものではありません。承認欲求と上手に付き合いながら、心穏やかに、自分軸でSNSを楽しむための参考にしていただければ幸いです。